大動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ、体の中で最も太い大切な血管です。この大動脈にトラブルが起きる代表的な病気が「大動脈瘤」と「大動脈解離」です。どちらも命に関わる重大な病気ですが、その性質や治療法は異なります。
大動脈瘤・大動脈解離
大動脈瘤・大動脈解離

大動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ、体の中で最も太い大切な血管です。この大動脈にトラブルが起きる代表的な病気が「大動脈瘤」と「大動脈解離」です。どちらも命に関わる重大な病気ですが、その性質や治療法は異なります。
大動脈の壁が、高血圧や動脈硬化によってもろくなり、「コブ(瘤)」のように大きく膨らんでしまう病気です。
多くの場合、自覚症状がまったくありません。健康診断や他の病気の検査(レントゲンやCT)で偶然見つかることがほとんどです。
コブが大きくなると、ある日突然、破裂(はれつ)する危険があります。破裂すると大出血を起こし、命の危険に直面します。
基本的に動脈瘤の大きさによって治療方針が異なります。
コブの直径が比較的小さい場合(一般的に40〜45mm未満など、部位により異なります)は、半年〜1年ごとにCTや超音波で大きさを確認します。あわせて、血圧が高い場合には降圧薬の服用を始めます。
コブの直径が50mm〜55mmを超えてくると、破裂の危険性が高まるため、人工血管に置き換える手術(開胸・開腹手術)や、血管の内側からステントグラフトという折りたためる人工血管を留置する治療(カテーテル治療)を検討します。また、半年で5mm以上など「大きくなるスピードが早い場合」も手術の検討が必要になります。
大動脈の壁は、内膜・中膜・外膜という3層構造になっています。何らかのきっかけで一番内側の膜(内膜)に裂け目ができ、そこから血液が壁の内部(中膜)に流れ込んで、血管がバリバリと縦に裂けてしまう病気です。
ある日突然、「胸や背中に、今まで経験したことがないような激痛」が走ります。裂け目が進むにつれて、痛みが首や腰へと移動することもあります。
非常に危険な状態です。血管の外側の薄い膜(外膜)一枚でかろうじて血液を止めている状態のため、いつ破裂してもおかしくありません。また、大切な臓器への血流が途絶えてしまうこともあります。
解離が起きている部位によって、治療方針が大きく2つに分かれます(スタンフォード分類)。
| 分類 | 状態 | 基本的な治療方針 |
|---|---|---|
| A型 | 心臓に近い部分(上行大動脈)に解離がある | 原則、緊急手術を行います。破裂や心臓の合併症で数時間単位で命に関わるため、一刻も早く人工血管に置き換える必要があります。 |
| B型 | 心臓から遠い部分(下行大動脈)だけに解離がある | 破裂や主要な臓器への血流障害がない限り、まずは入院のうえ、お薬による強力な血圧コントロールと安静(保存的治療)を行います。ただし、合併症がある場合はカテーテル治療などを検討します。 |
どちらの病気においても、血管にかかる負担を減らすための「厳格な血圧管理」と「生活習慣」が命を守る鍵となります。
自宅での血圧を上(収縮期)が130mmHg未満に保つよう、医師から処方されたお薬は絶対に自己中断せず毎日飲んでください。
塩分の摂りすぎは血圧を上げます。1日6g未満を目標に、薄味を心がけましょう。
トイレで強く「いきむ」と、血圧が一気に跳ね上がります。水分や食物繊維を摂り、必要に応じて便を柔らかくするお薬を処方してもらいましょう。
冬場の脱衣所や浴室、トイレは暖房で暖めておきましょう。熱すぎるお風呂への入浴や、急に冷たい外気に出ることは避けてください。
力いっぱいきばるような動作(重い荷物の持ち上げ、強い筋トレなど)は血管に強い圧力がかかります。運動は医師と相談し、ウォーキングなどの軽い有酸素運動にとどめましょう。
もしも「突然の激烈な胸や背中の痛み」を自覚した場合は、大動脈解離の発生や大動脈瘤の破裂の可能性があります。一刻の猶予もありませんので、すぐに「119番(救急車)」を呼ぶことを検討してください。
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